北欧語書籍翻訳者の会

Group of literary translators from Nordic languages into Japanese

2019年ヨーロッパ文芸フェスティバル参加レポート

2019年11月2日に行われたヨーロッパ文芸フェスティバルに北欧語書籍翻訳者の会が登壇する機会をいただきました。場所はインスティトゥト・セルバンテス東京。

スウェーデンの鬼才ヨナス・ヨナソンさん

私達の出番の直前には『窓から逃げた100歳老人』(西村書店、2014 年)をはじめとする作品が世界的なベストセラーになったスウェーデンの作家、ヨナス・ヨナソンさんが書評家の杉江松恋さんと対談されました。

世界情勢、社会問題についての豊富な知識に下支えされたウィットに富んだユーモア、肩の力の抜けた抑揚のある小気味よい語りがとても印象的でした。生まれながらの作家とは彼のような人を言うのでしょう。

杉江松恋さんのナビゲートもあいまってか終始、笑いの絶えない対談でしたが、「私は作家だから、私の言うことは信用しない方がいいけど」という謙虚でちょっとブラックな前置きをした上で、最新作『世界を救う100歳老人』がこれまで自分が書いた中で一番の傑作だとおっしゃられた際、特に会場が湧きました。ユーモアは世界共通なのではないかという言葉も多くの人の心に残ったのではないでしょうか。日本と文化の近い韓国でも熱心な読者と出会えたという話もされていました。

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北欧から日本へ――翻訳者パネルディスカッション

休憩をはさみ、いよいよ13時20分から私達の出番です。いただいたのは1時間。

北欧諸国の位置関係と言語状況

パネルディスカッションではまずあいさつの後、司会のヘレンハルメ美穂が北欧諸国の位置関係と言語状況(デンマーク・スウェーデン・ノルウェーの言語はゲルマン系で似通っており、ドイツ語や英語とも縁戚関係にあること、フィンランド語は別系統の言語で、フィンランドの主に西海岸には、スウェーデン語を母語とするマイノリティーが人口の5%程度いることなど)について説明しました。

なぜ北欧文学?

その後、ゲスト参加のフィンランド語翻訳者の古市真由美さん、スウェーデン語翻訳者の久山葉子、デンマーク語翻訳者の枇谷玲子が北欧文学の翻訳を志したきっかけ、翻訳者を目指した理由を話しました。

古市さんは、「なぜその言語を?」という質問は英語以外の言語を扱っていると宿命のように聞かれることですね、とおっしゃっていました。結局は、好きだから、好みだから、としか言いようがないかもしれません、とも。もともと、何となく「南」より「北」の雰囲気が好みで、子どものころ家にあった少年少女世界名作全集でも、北欧編をいちばんよく読んでいたそうです。フィンランドという国をはっきり意識したのは、昭和40年代に邦訳で読んでいた、ムーミンの読み物だったと思う(スウェーデン語で書かれていることは訳者あとがきで知っていたけれど、作品が生まれた国の名前が印象に残った)、とのこと。

枇谷は、高校生の時『マリアからの手紙』(徳間書店)を読み、移民排斥運動など政治的なトピックについて学校で率直に議論するデンマークの教育、子どもと本音で向き合うデンマークの教師の姿に感動して、本音を言えず、権威に反意を表することができず苦しい思いをしていた自分を救い出してくれる大人がこの国にひょっとしたらいるのではないかと思い、デンマークに興味を持ったと話しました。 

久山がスウェーデンと出逢ったのは、高校のときの交換留学がきっかけ。1年間留学したのですが、なぜスウェーデンを選んだかというと、当時スウェーデンのロックバンド<ヨーロッパ>が好きだっただけ。

翻訳をしようと思ったのは、大人になってスウェーデンに移住してから。日本での仕事を辞めて、小さい子供を連れてスウェーデンに移住したとたんに失業者となり(スウェーデンには専業主婦がほとんどいない。働いていない大人は性別に関わらず失業者に分類される)、どうしよう……と思ってたところ、長距離列車の車内誌の書評を読み、この本面白そう!→早速購入して読む→予想以上に面白かった!→日本の友達にも読ませたい!→でもスウェーデン語だし……自分で翻訳するか?→出版業界のことなど何もわからないけれど、とりあえずスウェーデンの出版社に電話→中略→一年後にはその本が自分の訳で日本で刊行された、といういきさつをお話しました。

久山の移住後の暮らしについては著書の『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』(東京創元社、2019年)に詳しく書かれています。

世界からコーヒーがなくなるまえに

次にフィンランド在住の翻訳者のセルボ貴子による、訳書『世界からコーヒーがなくなるまえに』(青土社、2019年)についてのプレゼンテーション動画が流されました。

セルボ貴子は以下のように話しました。

「普段は 通訳、コンサルティング業ですが、出版翻訳の仕事は5年前トーベ・ヤンソンの生誕百周年にあたり評伝を訳す機会を頂きました。(五十嵐淳さんと共訳)当時苦労したのは、ノンフィクションではあるけれど、スウェーデン語系フィンランド人であるため、スウェーデン語の地名や歌、フレーズは話者の友人に聞き、またトーベ独自の造語もどう日本語に落とし込むかに悩みました。事実関係の調査にも苦労しました。フィンランド語では兄や弟、と書かず単に男兄弟と書くことが多いので、トーベの昔の恋人の姉妹について、妹なのか姉なのかをオーランド諸島のアーカイブに電話し英語でやりとりし調べたこともありました。
5年のタイムラグが空きましたが、今回は仕事でも関わることの多いサステナビリティとフィンランド人が個人当たり消費量世界一のコーヒーというお題の本をどうしてもやりたくて売り込み、過日10月25日に出版されたばかりです。

フィンランド語の本ではありますが、舞台はブラジルなのでポルトガル語の人名や地名を確認するのに、ブラジル人の友人の手を借りました。またコーヒー業界の細かいことについては著者片割れのラリに教えを請いました。作者の熱量をしっかり伝えられたか、そこが一番気になっています。次にその作者たち二人から短いメッセージが続きますが、コーヒー好きが多い日本の皆さんにもぜひ考えて頂きたいテーマです。引き続き、ヨーロッパ文芸フェスをお楽しみください。」

その後作者からのメッセージも。

『世界からコーヒーがなくなる前に』についてはこちらのツイッターでも詳しく知ることができます。

単語の持つイメージの違い、そして翻訳の意義について

グレタ たったひとりのストライキ』(海と月社、2019年)を訳したスウェーデン語翻訳者 羽根由 は、単語の持つイメージの違いと翻訳の意義について、こう話しました。

「スウェーデン語を訳していて感じることの一つは、例えば äktenskap という単語を日本語に訳すとき、「結婚」にしますが、果たしてこの二つは同じなのだろうか、と思うことです。

スウェーデンで結婚したければ、教会あるいは市役所へ行って、権限のある人の前で誓う必要があります。「この人を配偶者にしますか?」と尋ねられて「はい」と答えないと結婚できないのです。一方、日本では、結婚は市役所に届けるだけでよく、他人が夜中に届け出をすることもできます。

私たちは市役所で結婚したのですが、そのとき、結婚を認める権限のある人から「結婚においても男女は平等です。お互いをリスペクトすることが大切です」というお話をいただきました。

それから、arbete という単語もそうですね。これは「労働」という意味ですが、私が聞いたフレーズに「日本人は働くために生きる。スウェーデン人は生きるために働く」というものがあります。日本以外の国の人は、全部そうかもしれませんが。

教育についても違うでしょうね。私の最新邦訳書はグレタ・トゥーンベリについての本なんですが、これとはまた別に、スウェーデンの社会科の教科書を邦訳した本があります。そこには「個人は社会を変える力がある。デモもその手段の一つ」と書いてあるそうです。

それから、枇谷玲子さんの最近の邦訳書にハンス・ロスリングの自伝があります。あの本の中ではロスリングもその奥さんも大学での専攻を変えて最終的に医学を修めるのですが、これが可能な背景として、スウェーデンでは高校の成績次第で大学に行けること、授業料は無料の上に、大学生は政府からお金までもらえることが挙げられます。

久山葉子さんの、これは翻訳ではなく、ご自分で書かれた本なのですが、そのタイトルは『スウェーデンの保育所に待機児童はいない 』 。なぜかというと、スウェーデンでは保育所に行くのは1歳以上の子どもの権利だからなんです。母親の権利ではありません。

こんなふうに、「大学」「保育所」と言っても、日本人とスウェーデン人が受けるイメージは全然違うかもしれません。私たち翻訳者の役割というのは、日本にいるみなさんに、それを知らせるきっかけをつくることだと思います。日本とは違う文化が外国にあると知れば、生きづらい日常が少しでも楽になるかもしれません。また、社会を変えようという運動につながるかもしれません。

その本がミステリであってもノンフィクションであっても同じです。私たちは、日本の方々に、そう考えてもらうお手伝いをしているのだと思います」

北欧語翻訳の難しさ

羽根の発表を受けて、司会のヘレンハルメが、翻訳には、その言語に含まれた社会の価値観が大きくかかわってくる、と話しました。そのうえで、「どの言語でも翻訳はけっして簡単な作業ではありませんが、とくに北欧の言語を翻訳するにあたって難しい点はなんだと思いますか?」という質問をしました。ここでおもに話題にのぼったのが、言語に反映されたジェンダーの問題です。

北欧の言語では、男女によって使う言葉にほとんど差がありませんが、日本語には女ことば・男ことばが存在します。意識的にジェンダー平等をめざし、それを言語にもどんどん反映させている北欧社会ですから、日本語に訳す際にも意識せざるをえません。

久山は最近訳した『ヒヒは語らず』(11月15日刊)であるキャラクターのセリフを訳すのが難しかった体験を話しました。誰もが畏怖する悪の組織のボスだが、機嫌がよくなると〝ギャルのような喋り方になる〟という説明つきの登場人物の喋り方をどう訳すか。スウェーデン語のセリフを読むかぎりは男女差はありません。ただし、それを日本語にすると変化をつけなくてはいけない。そのあたりは日本語にする場合、訳者の采配で話し方を変えなくてはいけないと思いました。

枇谷は『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本」を訳した際に、読者の方から語尾に「よわね」を多用しているのが気になるというご意見をいただいたことで、ジェンダーと言葉について自分も編集者さんも考えるきっかけをもらった。どの程度女言葉を使うのが自然かは読者が決める面もあるのではないかと言いました。

古市さんは、女言葉とされる語尾の「~よ、~わ、~ね」などは、実際の話し言葉で使われているし、自分でも使う。文章の中でも、完全に排除してしまうのは不自然ではないかと言いました。また、日本語の男言葉・女言葉や敬語は、話し手が誰かという情報を示す手段でもあるとも。


枇谷はデンマークの翻訳者セミナーで世界の翻訳者たちがMadame Nielsenという作家に心酔していたが、自分自身はふとした訳語から、ジェンダーに縛られがちな自分の思想やひょっとしたら差別ともとられかねない意識が露呈されるのではないかと思い、きちんとLGBTの人達のことを勉強してからではないと作者の言葉をどう訳せばいいか分からないと他の国の訳者に伝えたところ、彼の文学には、ジェンダーにとらわれない文学としての価値があり、そこがポイントではないと言われたことを話しました。


ここでヘレンハルメが、中性の三人称代名詞henについて少し紹介しました。スウェーデン語では長いあいだ、男か女かどちらかわからない場合に「彼」を意味するhanを使うのが通例でしたが、これが性差別的であると問題になっていました(英語にも同じ問題があると思います)。これを解決するため、彼「han」でも彼女「hon」でもない、中性の代名詞「hen」が登場。2012年、とある絵本でこの代名詞が使われ、賛否両論の大議論になりました。が、以来、henは社会に広まり、新聞記事や公的文書でも使われるようになっています。

久山は自身が教師として働いている高校で、ある生徒は女の子なのに男の子の名前に改名して「わたしのことはHan(彼)と呼んで」と頼んでくるし、また別の生徒は女の子なのに性別に縛られるのが嫌で、中性的な名前に改名し「わたしのことはHenと呼んで」と頼んでくる、という体験談を話しました。若い世代では性別への概念がかなり変わってきているのを感じます。


枇谷はお隣のデンマークの2015年の記事で、 特にジェンダーについて、ポリティカル・コレクトな言葉を使おうとする傾向が強いスウェーデンで、 Henが辞書に公式に載ることになったこと、児童書の中や学校教育でHenがすでに使われはじめていることが取り上げられていたと話しました。記事には、スウェーデンからインスピレーションを受けることが多いデンマークでも、この代名詞がデンマークでもスウェーデンのように使われるようになるか疑問視されていると書かれていました。

古市さんは、 フィンランド語ではもともと彼と彼女を区別しない(三人称単数の人称代名詞は「hän」ひとつしかない)ので、英語の文章を読むと、男か女か、彼か彼女かをこんなにいちいち言わないといけないのか、と感じると言いました。
 日本語に訳す場合、地の文では、「あの人」などとすれば済むのでそれほど悩まない。しかし、「あの人」がしゃべり出したとたん、男女どちらかに決めねばならず悩むことになるとも。なぜなら、日本語の話し言葉は、女言葉か男言葉かがはっきり分かれているからだそうです。

ハッピーフード 食べものと幸福はどうつながっているのか?

次にスウェーデン翻訳者の中村冬美が、『ハッピーフード 食べものと幸福はどうつながっているのか?』という未訳書について発表しました。

「先日私はスウェーデンの文化庁よりご招待いただきまして、ヨーテボリで行われたブックフェアに参加してきたのですが、 このブックフェアで見つけました『ハッピーフード』という本を紹介させていただきました。

スウェーデンでは、ここ何年かアンチインフラメーションフード、つまり抗炎症作用のある食べ物による健康法が、大流行です。日本でも腸内フローラ、スーパーフードといった言葉とともに、流行になってきているように思います。

 この本の作家さんは、おふたりの男性です。右側のひげの男性二クラス・エクステッド氏はスウェーデンで最も才能のあるシェフのひとりと言われている方で、テレビで二クラスフードという料理ショーを行っています。

 左側のヘンリック・エンナルト氏はスヴェンスカダーグブラーデットという新聞のジャーナリストで、健康的な食べ物のもたらす幸福感について、多くの記事を書いています」

「2017年にエンナルト氏はワシントン郊外で行われた会議に出席しました。この会議で世界各国の大学から来た学者たちが出した結論は、今食べ物の主流である、多量の糖分を含んだ食べ物が肥満、糖尿病、グルテンアレルギーや腸疾患の原因となるばかりでなく、私たちの精神的な健康にも大きく関わっているということでした。この本では、体内の腸内フローラにとって何がベストの食べ物かということが紹介されています。

 この腸内フローラは、私たちの健康だけでなく、感情をもコントロールしています。消化管が第二の脳と呼ばれているのは、きちんとした理由があります。

 この腸内フローラにいる微生物の種類が多ければ多いほど健康的であり、減少してしまうと、免疫防御といった大切な身体の機能が弱っていきます。

 この腸内フローラが関わっているのは、内臓系の病気だけではありません。記憶力や学習をコントロールする、脳由来神経栄養因子という物質は腸内フローラの状態が良いほど、増えていきます。つまり学習に必要な脳の働きも、腸内フローラと大きく関わっているのです」

「この本には、最新の食べ物と健康、特に感情に大きく関係する情報がたくさん詰まっています。またレモンやキムチといった日本でも手に入るような食材を使ったレシピがたくさん載っています。作家のおふたりの進めているハッピーフードは、たとえばケール、ザワークラフト、しょうがなどです」

「この何年か、デンマーク語のヒュッゲ、いわば暖かなくつろぎといった意味の言葉が大変流行っています。私たちが健康的な食べ物の並ぶ食卓につく時、ジャンクフードを食べる時とは違う満足感、幸福感が生まれるのではないでしょうか。この本は、私たちが毎日を、幸せな気分で過ごすガイドブックとなってくれるでしょう。抗炎症の食物による、健康、美肌、アンチエイジングなどに感心のある人々にぜひお勧めしたい一冊です」

だれもが物語をたのしめるようにーースウェーデンのとりくみから

先のヨナス・ヨナソンさんのお話の中で「本はずっと友達だった」という言葉が出ました。環境の違いやハンディの有無を超えて、誰もが本と友達になれるような環境を整えるにはどうすればいいのか? スウェーデン語翻訳者のよこのななは、スウェーデンの取り組みを二つ紹介しました。

短編専門出版社Novellix

ひとつめとして紹介したのは、「家でも外でも、いつでも手元に本を」というコンセプトで短編作品を1冊の本として出している出版社Novellixです。本をいかに身近なものとして暮らしの中に取り入れるか、逆にいえば、いつも手元に置きたい本をどう作るか、というアプローチです。毎回テーマを設定し、テーマにあわせた独自の装丁で4冊発行しています。言語やジャンルもさまざま、古典から書下ろしまで、いろいろな作品を紹介しています。ラインナップからは、短編作品が持つ力を信じている、という作り手側の強い信念を感じます。また、本というプロダクトの見せ方の工夫、埋もれている作品の掘り起こし、テーマ設定などなど、国を超えて参考にできる要素がたくさんあると思います。

「やさしく読める本」LLブック

まったく違うアプローチとして、ふたつめに紹介したのは、「やさしく読める本」LLブックです。日本でも近年刊行が増えていますが、スウェーデンで1960年代にノーマライゼーションの一環として作られるようになった、読みやすさに配慮した形態の本を指します。スウェーデンでは人気小説や古典のLLブック化が進んでいる一方、LLブックとして書下ろされた作品も増えています。一見すると詩集に見えるような、そぎ落とされた簡潔で短い文章を重ねて、複雑な状況や心理を描写する作品もあり、新たな文学形態としても可能性を持っているのではないか、ということも話しました。また、作品によっては国内の少数言語にも訳されています。(これは当日言いそびれてしまったのですが、)翻訳が同じ国の中においても大きな役割を果たしていることも、忘れてはいけないと思います。

読者の方たちからの質問

最後に読者から、登場人物の年齢に応じた訳し分けについて質問が上がりました。

年齢の問題に関連して、上司と部下といった関係の中での言葉遣いについても話が及びました。北欧は上司と部下が互いにファーストネームで呼び合うほどにフラットな関係が当たり前です。「上司と部下」というよりは「同僚である」という意識が高い、ともいえます。けれども、それをそのまま日本語にしてしまうと、どうしても違和感が出てしまうため、対象言語の日本語に合わせて、部下や年下にあたる人物に敬語を使わせることもあります。

枇谷は例えばデンマークの作家Tove Ditlevsenは、30歳年上の編集者との結婚生活と離婚、その後同世代の美男子の大学生との結婚生活や離婚などを綴った 『毒/結婚』という自伝的小説の中で、1人目の編集者と2人目の同世代の夫の老いと若さが対比的に描かれており、また前者の編集者の夫が、若い芸術家達の才能、若さに焦がれ、彼らを応援したいという思いを持っていたことから、この作品では老若を如実に話し言葉に投影させ、時に老いというものを皮肉る著者の言葉を生かした訳にした方がよいのではないかとお話ししました。


このような機会をいただき、ありがとうございました。

北欧語翻訳者の会の書評集を当日、配布いたしました。こちらでPDFをご覧いただけます。 印刷版は一部のみカラーですが、ウェブ版は全ページカラーです。

当日配布した冊子は、A面がnote掲載の未訳本書評をまとめたもの、B面がイベント報告やエッセイを収録した活動レポートになっています。

ヨーロッパ文芸フェスティバル1日目その他のプログラム

その後もメンバーでヨーロッパ文芸フェスティバルを観覧させていただきました。

https://mortendurr1.wordpress.com

デンマークのモーテン・ドゥーアさん。ゼノビアのほかに発表された『イヴァル(Ivalu)』は日本語の完全訳はすでに作成済みで、フェスティバル当日はまだ日本の出版社は見つかっていないそうでした。

『ゴッホ』(花伝社、2019年)の作者からサインをもらう字幕翻訳者の藤野玲充さん


本も売っていただきありがとうございました。

数学者で翻訳者の服部久美子さんもヨナス・ヨナソンからサインをゲット! 爆買いしていました。

美味しいワインやタパスをいただきながらおしゃべりするメンバー。
アイスランド語の新メンバーも入りました!

近くのお店で打ち上げをしました!

ヨーロッパ文芸フェスティバル2日目

文芸フェスティバルは3日間。私達の発表は1日目でしたが、2日目、3日目もフェスティバルを参加者として引き続き満喫しました。

会場をイタリア文化会館に移して行われた2日目、午後最初のプログラムは、オーストリアのイルゼ・アイヒンガー『映画と災厄』出版記念トーク。アイヒンガーという作家の魅力、深みが伝わってくる内容でした。第二次世界大戦とナチスの過去に対する、ドイツとオーストリアの姿勢の違いなど、興味深いお話がたくさんありました。

ヘレナ・ヤネチェクさんと多和田葉子さんの対談「母国語の多様性」
多和田さんが『献灯使』より朗読中

ヨーロッパ文芸フェスティバル3日目

2日目、3日目もメンバーの爆買いが止まりませんでした。

https://www.facebook.com/miakankimakiofficial/

クロージングパーティーでも様々な国の作家、翻訳者、関係者と交流。文学への愛は国境を越えます。

海外文学への愛溢れる素晴らしい会でした!

日本にいながらに、海外文学をめぐる旅に出たようなプチ留学気分に。

また来年も行きたいです。 この度は本当にありがとうございました。

参考 ヘレンハルメ美穂さん、後日執筆

スウェーデン語の新たな代名詞「hen」が歩んだ道のり

https://note.com/nordiclanguages/n/n1dd318dde242

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